インプラント
インプラント治療とは、歯を失った部分に、人工の歯根(インプラント)を埋め込み、歯を補う治療法です。
以前は、歯を失った際の治療法として、義歯やブリッジなどが一般的でしたが、近年ではインプラント治療を希望される患者様が増えてきております。
Meritメリット
- 健康な歯を削る必要がありません
- 天然の歯と同じように噛めます
- 顎の骨が痩せていきません
- 天然歯のような審美性を得られます
Demeritデメリット
- 外科手術が必要です
- 治療が行えないケースがあります
- 保険診療が適用されません
- 定期診査が必須となります
インプラントの構造
インプラントは、人工歯、アバットメント、インプラント体の3つの構造に分かれています。
人工歯の素材はハイブリットセラミックスが一般的です。周囲の歯の状況や噛み合わせなどを診査のうえ、患者様に合うものを提案します。アバットメントは、人工歯とインプラント体を連結させる役割があり、基本的にはスクリューというネジで固定します。そして、顎の骨に埋め込む人工歯根がインプラント体です。骨のサイズや形態に合わせて様々な形や長さのものを準備しています。
当院のインプラント治療
当院ではドイツDentsply Sirona社製、アンキロスインプラントシステムを導入しています。近年までインプラントは噛むことを重点にした治療でしたが、それだけでなく、高い審美性と組織安定性の向上を目的に開発されたのが、このアンキロスインプラントシステムです。開発より20年今では世界中で注目され、その長期安定性が認められています。
当院におけるインプラントの種類
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ソケットリフト
上顎の奥歯部分に関して、インプラントを入れるための十分な骨の高さが確保できない場合に行う治療法です。専用の器具で上顎洞底を押し上げて、骨補填材を充填。しっかりと骨が出来上がった数ヶ月後にインプラントを埋入します。
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サイナスリフト
上顎と上顎洞の隙間が狭い場合などは、ソケットリフトが難しいのでサイナスリフトを検討します。頬側の歯肉をめくり、側方から骨補填材を充填する方法です。ソケットリフト法よりも傷口が大きくなりますが、様々な症例に対応しています。
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GBR
インプラント埋入時に歯槽骨の量が不足している際、高さや幅を確保するために骨造成を行う治療法です。骨量が不足している箇所に、「ハイドロキシンアパタイト」や「B-TCP」などの人工骨を移植し、メンブレンという特殊な膜を覆い被せていきます。
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ソケットプリザベーション
インプラントなどを行うために、抜歯をした後、そのままの状態を放置していると周りの骨を吸収し始めます。患者さんによっては骨量が足りなくなるので、抜歯後の穴に人工骨などを入れて骨の吸収予防・骨の再生を行う必要があります。これをソケットプリザベーションと呼びます。
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抜歯即時インプラント
文字通り、抜歯してすぐにインプラントを埋め込んでいきます。手術当日から歯が入るため、「治療期間が短い」「手術の回数を減らすことができる」など様々なメリットがあります。症例は限られますが、歯のない期間を最小限に抑えられるため是非一度ご相談ください。
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リッジエクスパンション
加齢により骨幅が狭くなっている場合に行う治療法です。バーで切り込みを入れて、徐々に骨幅を拡大。十分骨が広がった段階でインプラントを埋め込んでいきます。
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自家骨骨造成
歯槽骨の高さや幅が不足しているときに、骨量を増やすために自分の骨を採取(自家骨移植)し、骨造成する治療法です。時間はかかりますが、拒絶反応が起こらず安定して骨量を増やすことができます。
治療の流れ
インプラント手術は滅菌状態で行います。使用器具・材料はもちろんのことですが、術者の術衣、グローブ、患者様におかけするシートなど、手が触れるすべてを滅菌状態で管理して手術を行います。また、CT撮影により、術前の診査・治療計画の立案を必ず行っています。
当院でのインプラント治療は、2回法を採用しています。1回目の手術でインプラントの埋入を行い、上顎で4~6ヶ月、下顎で2~3ヶ月程、インプラントと骨が結合するのを待ちます。2回目の手術は歯肉形態の修正、上部構造製作の準備を行います。ここからは約1ヶ月間で型どり、上部構造の製作、完成・装着を行います。
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Step01
カウンセリング
患者様のお悩みや症状、治療に関するご希望などを伺います。また、インプラント治療の流れやメリット・デメリットなどをご説明します。
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Step02
精密検査
歯科用CTやレントゲンでの撮影、口内のチェックなどを行います。それらを分析、シミュレーションし精密検査をします。
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Step03
歯周病治療
と前処置手術前の準備として歯周病検査・治療を行い、お口の中全体をより良好な状態にします。また、必要に応じて仮歯などを用意します。
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Step04
一次手術
歯肉を切開し、顎の骨にインプラント体を埋入する穴を開け、インプラントを埋入します。歯肉を縫合し、骨とインプラントが結合するのを待ちます。
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Step05
二次手術
骨とインプラントがしっかり結合したら、埋入したインプラントに人工歯との接続部を装着します。
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Step06
上部構造
の準備印象・咬合採得、人工歯の色調の決定を行います。
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Step07
上部構造
の装着製作された人工歯の微調整、色調の確認を行い、噛み合わせや見た目に問題なければ装着します。
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Step08
アフターケア
インプラントは新たに得られたご自身の歯です。少しでも長くお使い頂けるよう、定期的なメンテナンスをお勧めしています。インプラントだけでなく、お口全体の健康維持にも有効です。
治療費
インプラント 1本 | 374,000円 |
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造骨手術 | 44,000円~77,000円 |
※税込となります。
インプラントと骨造成
骨造成移植治療とは
加齢や歯周病で顎の骨が溶けたり、薄くなったりした場合はインプラント治療が難しいケースがあります。インプラントは顎の骨としっかり結合することで、噛む力を確保するためです。その際に重要なのが骨造成移植治療です。骨が不足している部分に、HAP(ハイドロキシアパタイト)やβ-TCP(ベータリン酸3カルシウム)などの人工骨を充填し、骨を作っていきます。時間はかかりますが、他院でインプラントが難しいと言われたケースにも対応できる可能性があります。
Meritメリット
- インプラントの安定感が増します
- インプラントが難しかった症例に対応できる可能性が高まります
- 歯茎のラインが整うので、インプラントの審美性が向上します
Demeritデメリット
- インプラントに関連した治療内容が増えるため、治療期間が長くなります
- 術後、痛みや腫れが生じる可能性があります
- 手術部に稀に感染のリスクが伴います。
骨造成移植治療とは
自家骨骨造成は、自身の体のある部分から自分の骨を採取し,骨が足りない部位へ移植する方法です。
口腔顎顔面外科領域では、スタンダードな治療として行われてきましたが、さらにインプラント埋入に最適な歯槽骨を造成する術式で行われます。採取した自家骨を加工し、骨のない部位(母床)にスクリューで固定し、約4ヶ月骨が生成されるのを待ちます。実際の骨移植の場合は、口腔内からアプローチ可能な部位から採取します(皮膚切開は行いません)
インプラント治療の場合、顎骨の水平的な幅又は垂直的な高さが不足している場合、自家骨移植を行うことによってインプラントを支える丈夫な歯槽骨を造成するのはもちろんですが,血液の通った本物の骨ができあがるので、拒絶反応も起こらず、感染防御・免疫機能を兼ね備えた組織として機能させることが可能です。
Meritメリット
- ご自身の骨なので生体親和性に優れています
- 審美性や安全性が向上します
Demeritデメリット
- 骨増生の費用が発生します。
- 通常のインプラント治療よりも治療回数が増えます
- 通常のインプラント治療よりも治療期間が長くなります
料金表
自家骨骨造成 | 44,000円 |
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人工骨(1本使用) | 11,000円 |
メンブレン使用 | 11,000円 |
※税込となります。
骨造成移植治療の流れ
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Step01
歯肉の切開
骨造成を行う部分の歯肉を切開します。
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Step02
人工骨(骨補填材)装填
骨量の足りない部分に人工骨(骨補填材)を入れていきます。
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Step03
人工膜を装填
上から人工膜を被せ、3~4ヶ月ほど待ちます。
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Step04
骨再生を待ちます
徐々に骨が再生し、インプラント治療が可能な状態になります。
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Step05
インプラント埋入
十分な骨量が確保できたら、インプラント手術を行っていきます。
自家骨骨造成治療の流れ
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Step01
歯肉の切開
骨造成を行う部分の歯肉を切開します。
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Step02
顎の骨を採取
オトガイ部、下顎骨など患者さんの骨を採取します。
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Step03
固定
ブロック状の骨をネジで固定していきます
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Step04
骨再生を待ちます
徐々に骨が再生し、インプラント治療が可能な状態になります。
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Step05
インプラント埋入
十分な骨量が確保できたら、インプラント手術を行っていきます。
糖尿病や全身疾患がある方のインプラントなど
以前は糖尿病、高血圧、心疾患、骨粗しょう症など全身疾患をお持ちの方はインプラント治療が断られるケースがありました。しかし、治療技術の進歩により全身疾患があっても対応できる症例が増えてきました。当院では事前に検査と分析を徹底し、安全な状況を確保した上で治療を行っていきます。また、心疾患などに関しては必ずかかりつけ医と相談の上、治療可能かどうかを決めていきます。ご安心ください。
インプラント治療後のメンテナンスでしっかりケア
天然歯に近い見た目と噛み心地を持つインプラント。しかし、その機能を維持するためには治療後のアフターケアが重要です。特にインプラントは人工物なので、トラブルが起きても違和感に気づきにくく、インプラント周囲炎を発症してしまうリスクが高まってしまいます。当院では患者さんごとにメインテナンスプログラムを作成し、末永くインプラントを使っていただけるようサポートいたします。
症例集
インプラント症例
(骨移植)
歯周病が進行して骨が溶かされてしまった部分に、自分の骨や人工の骨を移植する方法です。歯肉や歯並び、歯の大きさなどが不揃いになった部分が、骨移植によって改善されます。自分の骨を使った自家骨移植の場合は、患者様ご自身の骨を使用しますので、非常に安全性が高く、移植後もスムーズに体に馴染んでいくことが期待されます。自家骨移植のほかに、自分の骨ではない骨を移植する他家骨移植と、人工的に作られた骨を使う人工骨移植もあります。
以下は、骨移植を行ったケースです。
年齢 | 60代 |
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性別 | 男性 |
治療内容 | 自家骨造成手術と1歯インプラント補綴 |
治療期間/回数 | 7ヶ月 14回 |
費用 | 340,000~410,000円 (消費税別、患者様の保険診療負担金分は含まず) |
注意点 | 自家骨移植による骨造成は4ヶ月程度かかります。 |
インプラント症例
(臼歯インプラント①)
下顎大臼歯2歯インプラント補綴治療の症例です。
年齢 | 40代 |
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性別 | 男性 |
治療内容 | 下顎左側大臼歯2歯インプラント補綴治療 |
治療期間/回数 | 6ヶ月 8回 |
費用 | 2歯インプラント補綴 630,000〜700,000円 (消費税と他の保険診療負担金分は含まず) |
注意点 | とくにありません。 |
インプラント症例
(臼歯インプラント②)
下顎大臼歯4歯インプラント補綴治療の症例です。
年齢 | 60代 |
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性別 | 男性 |
治療内容 | 下顎両側大臼歯4歯インプラント補綴治療 |
治療期間/回数 | 9ヶ月 14回 |
費用 | 4歯インプラント補綴 1,210,000〜1,350,000円 (消費税と他の保険診療負担金分は含まず) |
注意点 | インプラント治療が完了するまでは義歯を使ってもらいました。 |
インプラント症例
(ロケーターインプラントデンチャー使用)
土台にインプラントを使用するロケーターインプラントによるフルデンチャー補綴治療の症例です。
年齢 | 70代 |
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性別 | 男性 |
治療内容 | 下顎ロケーターインプラントを用いたフルデンチャー補綴治療 |
治療期間/回数 | 7ヶ月 14回 |
費用 | ロケーターインプラント4本、下顎総義歯 850,000〜990,000円 (消費税と他の保険診療負担金分は含まず) |
注意点 | インプラント治療が完了するまでは旧義歯を修理しながら使ってもらいました。 |